大判例

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東京地方裁判所 昭和28年(ワ)5404号 判決

証拠を綜合すれば、原告は訴外互興産業株式会社から白地裏書により本件手形を譲り受け、更にこれを訴外南都銀行に裏書をし、同訴外銀行大淀支店は同日これを訴外富士銀行に取立委任をしたので、同富士銀行は右手形を満期に支払場所に呈示したが支払を拒絶されたため、原告はその後南都銀行大淀支店からこの返還を受けて現に本件手形を所持していること、原告は本件手形を南都銀行において割引を受けるため同銀行に対し前示裏書をしたものであることを認めることができる。

原告は南都銀行に対する裏書は外形上通常の裏書であるが真実は取立委任の目的でされた裏書である旨を主張するけれども、本件約束手形の上部券面に「商手」(割引手形の意味)と押印してあるのは、「代手」(取立委任のための手形の意味)の誤である旨の供述はたやすく措信することはできない。

ところで被告会社は、原告が本件手形の正当な所持人ではないと主張するが、なるほど原告が南都銀行に対して本件手形を裏書譲渡した以後原告に対する裏書がなされていないことは被告主張のとおりである。しかしながら原告は本件手形の支払を拒絶された後、さきに原告が南都銀行に於て本件手形の割引を受けた際受領した金額に延滞利息を附し、これを同銀行大淀支店に返済し、同支店から本件手形の返還を受けて現にこれを所持するものである事実が認められ、右認定を左右する証拠はない。そして、手形上の権利が裏書によつて一たん被裏書人に移転された場合でも、その後裏書人が被裏書人に対し手形金額を支払い当該手形の返還を受けるときは、裏書人は再び手形上の権利を取得するものと解するを相当とし、この場合、右実質的権利者が裏書の連続を欠くためいわゆる形式的資格を具備しないとしても、債務者に対しその権利を証明するときは、手形上の権利を行使するに妨げないものと解されるから、原告が本件手形につき実質的権利を有すること前記のとおりである本件においては、原告に対し第二次の裏書がなされていると否とにかかわらず振出人である被告に対し本件手形金の支払を求めることができ、被告は、原告がその形式的資格を欠くことを理由としてこれが履行を拒否することは許されないものといわなければならないとして、原告の本訴請求は正当であると認容した。

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